リバースエニアグラム

エニアグラム矢印考察第5回「善悪2元論型の会派と著者その2」

エニアグラム矢印考察第5回「善悪2元論型の会派と著者その2」

破壊者の母、篠田工治です。

今回はエニアグラムの矢印考察第5回目です。

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前回は、善悪2元論型の矢印解釈を採用する会派と著者の一覧、そこに含まれるクラウディオナランホ氏、イエズス会グループについて簡単に紹介しました。

【4つの矢印解釈】

  1. 善悪2元論型
  2. 長短併せ持ち型
  3. 善悪長短混合型
  4. 割愛型

【善悪2元論型の矢印解釈を採用する会派と著者一覧】

  • クラウディオナランホ氏(エサレン研究所、真理の探求者研究所)
  • イエズス会(キリスト教カソリック)グループ
  • ドンリチャードリソ氏、ラスハドソン氏(エニアグラム研究所)
  • ティムマクリーン氏、高岡よし子氏(C+F研究所、エニアグラム研究所日本支部)
  • カレンウェブ氏
  • 武田耕一氏、和泉育子氏、田中きよみ氏(日本エニアグラム学会)
  • 木村孝氏(国際コミュニオン学会)
  • 竜頭万里子氏(究極のエニアグラム性格学)
  • 安村明史氏(エニアグラムコーチング)

※2013.4.25追記 カレンウェブ氏については書籍を読み直した結果、長短併せ持ち型に変更しました。

今回は引き続き「善悪2元論型」の矢印解釈を採用するドンリチャードリソ氏、ラスハドソン氏について、その根拠をご紹介したいと思います。

ドンリチャードリソ氏、ラスハドソン氏(エニアグラム研究所)

↑一番最初のタイトルとスクリーンに写っている男性がリソ氏

↑右側の男性がハドソン氏

イエズス会の神学生の頃にイエズス会グループのエニアグラムと出会い、後にナランホ氏と同じく西洋心理学的な見地から研究を進めたのがドンリチャードリソ氏です。

同氏の書籍につき、私は5冊所持しています。

エニアグラム―あなたを知る9つのタイプ 基礎編 (海外シリーズ) 性格のタイプ―自己発見のためのエニアグラム

エニアグラムのシンボル図に性格を当てはめ、最初に性格分類ツールとして使い始めたのはオスカーイチャーゾ氏ですが、実は後に続くナランホ氏、イエズス会グループについても、各タイプの説明はそんなに詳しくなかったりします。

そんな中、リソ氏は上記5冊の書籍を通じ、各性格タイプを詳しく説明したり、細かく描写することに心を砕いた御方です。その点においては他者の追随を許さないと言ってもいいでしょう。

ただ、その熱意が各性格タイプの内部において極度の細分化を生み出し、それが同氏のエニアグラムの使いにくさに繋がっている気がします。

例えば、同じ性格の変化・揺れである「ウィング」については、左右どちらの影響が強いかはハッキリ分けられるとし、各基本タイプを二分したものにそれぞれに呼び名をつけています。合計18のサブタイプですね。

左ウィング 右ウィング
1-9:理想主義者 1-2:擁護者
2-1:尽くす人 2-3:もてなす人
3-2:魅了する人 3-4:プロフェッショナル
4-3:貴族 4-5:ボヘミアン
5-4:因習を打破する人 5-6:問題を解決する人
6-5:守る人 6-7:良き友
7-6:エンターテイナー 7-8:現実主義者
8-7:独立した人 8-9:クマさん
9-8:調停者 9-1:夢見る人

そして、このウィングの偏りの強さを「低・中・高」と3つに分類することも念頭にあるらしく、そうすると18×3=54タイプ。

更に同氏が発明した概念で「成長のレベル」というものがあり、それが各タイプに9レベルずつあるので、54×9=468までタイプを細分化できるんだそうです。

で、これに以前お伝えした「本能のサブタイプ」の3分類をかけると・・・468×3=1404(!)で、もう大変なことに。

ここまでくると「せっかくエニアグラムが9つまでに性格を絞ってくれたのだから、素直にそれを使おうよ」という気がしてなりません。人はマジックナンバーである「7」プラス2くらいしか一度に数を認識できないのですから・・・。

それはさておき。

このリソ氏、および共著のラスハドソン氏は矢印を説明するのに

  • 矢印逆方向=統合(成長・健全・安心・静けさ・本質と繋がった状態)
  • 矢印正方向=分裂(堕落・不健全・ストレス・不安・自我と一体化した状態)

といった言葉を使っています。

これだけを見るとナランホ氏やイエズス会と同じ矢印解釈な気もしますが、両氏の矢印解釈は先程の「成長のレベル」という独自概念を組み合わせたものになります。

以下、細かくて分かりにくい話になるのですが、なんとか頑張って着いてきて下さい。

「成長のレベル」の解釈

リソ氏は「各性格タイプは精神の健全具合によって9段階のレベルに分かつことができる」と提唱し、これを「成長のレベル(The Levels of Development)」と名付けています。

具体的には、

レベル 精神状態 レベル特性
1 健全 解放
2 健全 心理的受容
3 健全 社会的価値
4 通常 不均衡
5 通常 対人支配
6 通常 過補償
7 不健全 侵害
8 不健全 妄想的思考と強迫的行動
9 不健全 病理的破壊性

こんな感じで、まずは「健全・通常・不健全」という3つの段階に分け、各段階につき更に3つの小段階に分けることで全部で9つの段階(レベル)があるとします。

そして各タイプにつき全てのレベルの特徴が設定されており、例えばタイプ2だと

レベル 精神状態 特徴
1 健全 公平無私な利他主義者
2 健全 面倒を見る人
3 健全 助力者として育ちつつある人
4 通常 大仰な友人
5 通常 所有欲の強い「腹心の友」
6 通常 尊大ぶった「聖人」
7 不健全 自己欺瞞的なごまかし屋
8 不健全 高圧的な支配者
9 不健全 心身症の犠牲者 |

こんな感じです。

そして9つの成長レベルのうち、通常はどれか1つに収まるのですが、状況次第で上下2つくらいは揺れ動くのだとか。例えば成長のレベルが4である人はレベル2からレベル6までの間を揺れ動くということです。

developmentlevels1

図にするとこんな感じですね。

で、この「成長レベル」と矢印と組み合わせると下の図のようになります。(上下の揺れ動きまで考慮すると面倒くさいので、とりあえず今は考えないことにします)

developmentlevels2

かえって文章にすると分かりにくいのですが、

  • 基本タイプのレベル1、2、3の段階にいる人は矢印逆方向(統合)タイプの同レベルの特徴を併せ持つ
  • 基本タイプのレベル4の段階にいる人は矢印正方向(分裂)と逆方向(統合)のタイプの同レベルの特徴を併せ持つ
  • 基本タイプのレベル5、6、7、8、9の段階にいる人は矢印正方向(分裂)タイプの同レベルの特徴を併せ持つ

という意味ですね。

例えばタイプ2で考えると、

  • レベル1にいる人はタイプ2とタイプ4のレベル1特徴を併せ持つ
  • レベル4にいる人はタイプ2とタイプ4とタイプ8のレベル4特徴を併せ持つ
  • レベル9にいる人はタイプ2とタイプ8のレベル9特徴を併せ持つ

ということになり、図にすると

developmentlevels3

こんな感じです。

これが基本的な「成長のレベル」の考え方なのですが、私はこの考え方に疑問を抱いています。なぜならこの解釈でいけば、成長レベルが7以下の場合、先ほどの上下の揺れ動きを考慮しても

  • 矢印正方向(分裂)の健全レベルの特徴
  • 基本タイプの健全レベルの特徴
  • 矢印逆方向(統合)の全てのレベルの特徴

が全く出ないことになるからです。これも図にした方がいいですね。

developmentlevels4

これを見る限りでは「矢印正方向(分裂)に進んだとしても何らかのメリットや意義はある、逆も又然り」という価値観とは相容れません。

上記レベル7のタイプ2の例で言えば「矢印正方向(分裂)の健全レベルの特徴=タイプ8のレベル1、2、3」が出ていないですし、レベル1であれば「矢印逆方向(統合)の不健全レベルの特徴=タイプ4のレベル7、8、9」が出ないことになるからです。

尚、リソ氏曰く、

  1. 全てのタイプの健全な特性(潜在能力)を身に付け
  2. それをバランスよく活かし
  3. 完全に機能した人間になること

というのがエニアグラムを学ぶそもそもの意義であり、最終的な目標なんだそうです。

例えばタイプ1であれば「1・7・5・8・2・4 」のようにドンドン変6角形の逆方向に進んでいき、それが一巡したら「3・6・9」と正三角形の逆方向にも進み、健全な特性のみを身に付けるということです。

もちろんこれはこれで崇高な考え方だと思うのですが、これは裏を返せば「どのタイプであろうと健全レベルの低い矢印正方向(分裂)に進むことは意味が無い」ということでもあります。

こういった「成長のレベル」の解釈を踏まえると、リソ・ハドソン両氏の矢印解釈は善悪2元論型だと言っていいでしょう。


今回はここまで。図や表ばかりで理解するのが大変だったと思います。お疲れさまでした。

次回も引き続き、善悪2元論型の矢印解釈を採用する会派と著者につきご紹介します。

それではまた。

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