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エニアグラム矢印考察第7回「長短併せ持ち型の会派と著者_その1」

エニアグラム矢印考察第7回「長短併せ持ち型の会派と著者_その1」

破壊者の母、篠田工治です。

エニアグラムの矢印考察第7回目になります。

前回は善悪2元論型の矢印解釈を採用する、

  • ティムマクリーン氏、高岡よし子氏(C+F研究所、エニアグラム研究所日本支部)
  • 武田耕一氏、和泉育子氏、田中きよみ氏(日本エニアグラム学会)
  • 木村孝氏(国際コミュニオン学会)
  • 竜頭万里子氏(究極のエニアグラム性格学)
  • 安村明史氏(エニアグラムコーチング)

の方々について簡単にご紹介しました。計3回に渡ってお伝えしてきた善悪2元型についてはこれで終わりです。

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  1. 善悪2元論型—<済>
  2. 長短併せ持ち型
  3. 善悪長短混合型
  4. 割愛型

今回は次の矢印解釈、長短併せ持ち型について簡単におさらいしてから、それを採用するエニア会派と著者についてご紹介します。

長短併せ持ち型の矢印解釈とは?

善悪2元論型の矢印解釈とは、「矢印正方向(分裂)のタイプに進むことは悪いことであり、矢印逆方向(統合)のタイプに進むことは善いことである」という考え方でした。

どちらか一方だけが善なのですから、目指すべき道は矢印逆方向であって、実質的には一本道。わざわざ矢印正方向のタイプに進む意義は無いんですね。

それは矢印逆方向を「統合、成長、安定」というポジティブな言葉で呼び表し、正方向を「分裂、退行、ストレス」というネガティブな言葉で呼び表すことからも伺い知ることができます。

前々回にお伝えしたドンリチャードリソ氏の「成長のレベル」も一見複雑に見えるんですが、乱暴に言えば「エゴを捨てて、健全レベルの上の方向だけを目指しましょう!」ってことです。

善悪2元論型の矢印解釈は明快で悩みの少ない考え方だと言えるでしょう。

それに対して、長短併せ持ち型の矢印解釈は、「正方向と逆方向、どちらのタイプに進んでも、それぞれメリットとデメリットがある」という考え方です。

どちらの方向にも一長一短があるとするならば、それはもう「善か悪か」という単純な価値観で矢印を推し量ることはできません。

この考え方の意義については幾つか思う所があるのですが、それは私自身の矢印解釈のところで詳しくお伝えしようと思います。

現時点では

1. 災い転じて福となす 2. 勝って兜の緒を締めよ 3. 禍福は糾える縄の如し

という3つのことわざを思い出していただければイメージしやすいと思います。(ある意味それがファイナルアンサーなのですが)

(※2015.1.23 考察を進める内に考え方が変わったので取り消しておきます)

善悪2元論型の動きが一方的に上昇を示すモノなら、長短併せ持ち型は絶えず左右に揺れ動く、振り子のようなモノなのです。

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長短併せ持ち型の会派と著者

さて、長短併せ持ち型の会派と著者のご紹介に入りますが、具体的には以下の45名になります。

  • ヘレンパーマー氏(国際エニアグラム協会、直感力の調査と訓練のためのセンター、エニアグラムワールドワイド)
  • レニーバロン氏
  • エリザベスウェイゲル氏
  • カレンウェブ氏
  • デーヴィド・N.ダニエルズ氏(2013.5.23追記)

ボリュームの関係で、今回はヘレンパーマー氏とレニーバロン氏のみご紹介します。

ヘレンパーマー氏(国際エニアグラム協会、直感力の調査と訓練のためのセンター、エニアグラムワールドワイド)

クラウディオナランホ氏に師事し、世界規模でエニアグラムの指導と普及に尽力されているのが、ヘレンパーマー氏です。

enneagram.comenneagram.com
恐らく同氏のメインサイトでワークやビデオ、音声を取り扱っている
Enneagram WorldwideEnneagram Worldwide
エニアグラムワールドワイドでもワークを取り扱っているみたい

同氏は1994年に開かれた最初の国際エニアグラム会議において共同議長を務められ、国際エニアグラム協会の中心的存在なんだそうです。

International Enneagram AssociationInternational Enneagram Association
国際エニアグラム協会

パーマー氏のワークショップや教育プログラムはアメリカ、欧州はもちろんのこと、香港、フィリピン、オーストラリア、シンガポールなどで展開されているのですが、何故かここ日本には無かったりします。

同氏は口伝(くでん)、すなわち文字情報に頼らない体験指導を重視しているらしいのですが、著書は何冊か刊行されていて、私は以下3冊を所持しています。

新 エニアグラムhelenbook

同氏のワークショップはパネル方式と言って、9つのタイプの代表(パネリスト)が前に出て、自分について語るのを聞く形式なんだそうです。

個人的にとても興味深いのは、同氏は武道をたしなんだり、クリスチャンではなく仏教徒だということ。

以下、知る人ぞ知る苫米地英人氏のブログから引用します。

彼らの結論をHelen Palmer的にまとめると、タイプ分類される自我は、「空」というのが、現在のエニアグラムの大御所たちの共通な意見だ。Helen Palmer 自身は、マンハッタンで若い禅僧に出会って以来、ブッディストを20年以上やってこれに、気がついたそうだ。

ドクター苫米地ブログ「エニアグラムは、空ですよ。」

では、ヘレンパーマー氏はエニアグラムの矢印をどのよう解釈しているのかというと、実は矢印の呼び名にそれが表れています。

  • 矢印正方向=行動時、ストレス下にある状態
  • 矢印逆方向=安定時、ストレスのない状態

こんな感じで、実は「統合、成長」「分裂、退行」といった善悪2元論的な言葉を使っていないんですね。

以下書籍「エニアグラム―職場で生かす『9つの性格』」より引用します。

人にはそれぞれ基本的な感情パターンがあって、それが生涯に渡るものの見方を形成する。とはいえ、たった1つの戦略で人生のさまざまな局面に対処しているのは、どうしても無理がある。そこで、臨機応変に対処していくために、私たちは一定の法則でパターンを変え、ストレス時を乗り切ったり、心にゆとりのある安定時を楽しんだりしているのだ。

もう全くこの通りだと思うのですが、パーマー氏は両矢印の方向に進むことにつき、人間が持つ柔軟性と捉え、どちらかの方向に肩入れすることはしていません。

ストレス」という言葉はえてして否定的な反応を呼び起こすもののよう思われているが、実際にはしばしば各タイプの代表的な人が、難局に立たされたときに自分の殻を破って成長できたと報告している。苦しいときに、私たちは他のタイプのよい面をとることもできるし、悪い面をとることもできる。

こんな感じで、矢印正方向に進んだとしても、悪い面だけでなく良い面があるとしています。

心配事のない安定時には、人はガードをゆるめ、リラックスして、普段は隠れているほかのタイプの行動パターンをとる。そしてこのときも、わたしたちは安定時でのタイプのよい面と悪い面のどちらでもとることができるのである。

このように矢印逆方向においても、良い面だけでなく悪い面があるとしているんですね。

例えばタイプ3の場合、書籍「『9つの性格』で自分がわかる、相性がわかる!」を引用すると、

  • 矢印正方向(ストレス時)=タイプ9のように出口を見失ってつまらないことに関心を向けるが、他者との間に信頼関係を築く
  • 矢印逆方向(安定時)=安定したタイプ6のように心が穏やかになるが、自信がなくなり不安も感じる

こんな感じでどちらに進んだとしても同じくらい長短があるとしています。

これがタイプ7になると、

ストレス状態のタイプ7は、目的意識がはっきりとして、倫理観を重んじるようになります。難しい問題に直面しても、あいまいな態度をとったり、逃げ道を探したりするようなことはしません。これはタイプ7にとっては最良の状態と言えるでしょう。物事をきちんと終わらせて、しっかり仕事することに喜びを感じるのです。

こんな感じで、むしろストレス状態に進むべきだと示唆しているタイプも有るのです。なんてったって「最良の状態」なんですから。

さらに、書籍「新エニアグラム」においては、同氏はこう述べています。

安定しているか、それとも行動によって一定のストレスを感じているかで私たちの心理的、感情的囚われが変化するという事実は、エニアグラム・マニアの間に安定神話を生み出した。安定時の反応の方が、行動-ストレス時の反応に比べ、ずっと魅力的に思え、自分の安定時のタイプの優れた要素を身につけることが、健康への道を示すように思えるためだ。エニアグラムの安定信奉者には、行動時つまり自分のストレス下の状態へ続く矢印を、自分のタイプの強迫観念を増すものと考える傾向がある。

つまり善悪2元論的な矢印解釈を「(実体の無い)神話」としてバッサリ切り捨てているんですね(汗)。

こういったことから、ヘレンパーマー氏の矢印解釈は長短併せ持ち型だと言えるのです。

レニーバロン氏

次にご紹介するのはレニーバロン氏です。

Renee BaronRenee Baron
同氏のウェブサイト

同氏はエニアグラムの指導に留まらず、実際にエニアグラムを活用したカウンセリングをされている御方です。

著書は計4冊刊行されていますが、その内翻訳されたのは、次回ご紹介するエリザベスウェイゲル氏との共著の2冊。私は2冊とも所持しています。

やさしいエニアグラム―性格の9タイプを見分ける kiyomi

この2冊につき、挿絵担当がエリザベスウェイゲル氏なのは分かるのですが、レニーバロン氏が主に執筆を担当したかどうかは不明です。

レニー氏が誰に師事したのかについても著書では明らかにされていませんが、全体的な内容や謝辞においてドンリチャードリソ氏よりもヘレンパーマー氏を上に持ってきていることから、恐らくヘレンパーマー氏のグループから学んだのでしょう。

同氏の著書で印象深いのは、次の3点です。

  1. 自分のタイプ(タイプ2)を著書で表明
  2. 各タイプとマイヤーズ・ブリッグズタイプ指標(MBTI)との関連づけ
  3. 全体の雰囲気が優しくて両論併記が多い

実は自分のタイプを書籍でちゃんと宣言している著者は多くないので、個人的にはとても好印象です。もちろん私と同じタイプなので親近感は大いにあります(笑)。

そしてもともとそっちの専門家だったのでしょうか、同氏はユングの理論を元にした性格分類であるマイヤーズ・ブリッグズタイプ指標(MBTI)を使って、各エニアタイプを更に細かく分類しています。

3つ目については、沢山のエニア著書を読むと分かるのですが、全体的に優しい雰囲気がする著書ってあんまりないんですよね(苦笑)。

やぶ蛇かもしれませんが、やたらと厳しいとか、人のネガティブ面ばかりあげつらうとか、専門用語だらけで理解不能とか、あまりにも理想主義でキレイ事過ぎるとか、そんなエニア本が多い中で、同氏の本は易しくて優しい雰囲気が漂う稀有な存在です。

あと全体的にいいことも悪いことも大体半々の割合で書いてあるので、中立的でバランスが取れていたりします。

で、同氏の矢印の呼び名ですが、

  • 矢印正方向=ストレス、不健康、否定的
  • 矢印逆方向=緊張を解いた良い状態、安全、肯定的、平静、統合

こんな感じでヘレンパーマー氏とは若干言葉が異なり、呼び名に善悪2元論的なニュアンスが漂ってはいます。

ただ、安全な状態だと矢印逆方向、ストレス下だと矢印正方向に進みがちとしながらも、どちらの方向であっても肯定面と否定面の両方が出るとしています。

例えば、書籍「やさしいエニアグラム―性格の9タイプを見分ける」ですと、両矢印の肯定面と否定面がそれぞれ箇条書きになっているのですが、比率は

  • 矢印正方向(ストレス)=「肯定面2:否定面3」
  • 矢印逆方向(安全  )=「肯定面2:否定面1」

こんな感じです。

書籍「エニアグラムでパートナー探し」ですと、箇条書きではないのですが文字数的に

  • 矢印正方向(ストレス)=「肯定面7:否定面10」
  • 矢印逆方向(安全  )=「肯定面10:否定面7」

大体こんな感じの比率になります。

これくらいの比率ですと、どちらの矢印方向に進んでも一長一短あると言っても大丈夫でしょう。

というワケでレニーバロン氏の矢印解釈は長短併せ持ち型だと言えるのです。


今回はここまで。

次回は引き続き、長短併せ持ち型の著者である、

  • エリザベスウェイゲル氏
  • カレンウェブ氏
  • デーヴィド・N.ダニエルズ氏(2013.5.23追記)

についてご紹介します。

それではまた。

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