
破壊者の母、篠田工治です。
エニアグラムの矢印考察第8回目になります。
前回は長短併せ持ち型の矢印解釈を採用する著者、会派として、ヘレンパーマー氏とレニーバロン氏をご紹介しました。
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- 善悪2元論型—<済>
- 長短併せ持ち型
- 善悪長短混合型
- 割愛型
今回も引き続き、長短併せ持ち型の矢印解釈を採用する
- エリザベスウェイゲル氏
- カレンウェブ氏
- デーヴィド・N.ダニエルズ氏(2013.5.23追記)
についてご紹介したいと思います。
エリザベスウェイゲル氏
エリザベスウェイゲル氏は上述のレニーバロン氏の友人で、作家であり、ピアニストであり、漫画家という、マルチな才能をお持ちの方です。性格タイプは5とのこと。
レニー氏との共著を含めると著書は計7冊刊行されており、
- 子育てに関する本
- 子供向きのエニア本
- 天職探しの本(イングリットスタブ氏との共著)
- 内向的な人の為のアドバイス本
- 死や恐怖、悲しみに関する本
こんな感じでかなりバラエティに富んだ著書が揃っています。
単著としては「エニアグラムで子供の性格を知る」だけが翻訳されており、私はそれを所持しています。
もちろん、漫画家ということもあり、各著書には同氏のユーモラスな挿絵がふんだんに使われていて、とても印象的です。(ただ、私自身は同氏の絵はバタ臭いというか日本人ウケしないというか、あんまり好きではありません_汗)
同氏が誰に師事したのかはレニー氏同様不明ですが、レニー氏と友達であること、著書の内容、そして出版元が「国際エニアグラム協会」であることなどから、やはりヘレンパーマー氏のグループから教わったのだと思われます。
あと面白いところでは、ベートーベンの曲と各性格タイプを結びつけたCDを出していたり、即興曲で各タイプを表現したりしています。
さて、肝心の矢印解釈についてですが、実は上記書籍には矢印の詳しい記述がありません。呼び名も、ただ「矢印」とだけ書いてあります。
私たちは、自分で意識してウィングや矢印の方向に動き、特定の特性を強めたり、能力を伸ばすこともできます。これは私たちの経験を広げてくれますし、私達が生きている環境に適切に対応することができるようになります。
引用文だけだと分からないのですが、文章全体を読むと、ここで言う矢印とは両方向の矢印を意味していることが分かります。
つまり、ヘレンパーマー氏と非常に似た価値観なんですね。エリザベス氏は。
もちろん、レニー氏との共著を出している以上、両者は似たような矢印解釈をしていると考えてもよいでしょう。
こんなことから、エリザベスウェイゲル氏の矢印解釈は長短併せ持ち型だと言えるのです。
カレンウェブ氏
今回最後のご紹介になります。
カレンウェブ氏はイギリスでカウンセリングをされたり、エニアグラムのワークショップをされている御方です。
「図解エニアグラム 9つの「性格タイプ」がわかる!」という著書が刊行されており、私はそれを所持しています。
同氏が誰に師事したのかは不明ですが、書籍の冒頭にヘレンパーマー氏による「推薦者の言葉」があります。そして全体的な内容についてもヘレン氏の内容に似通っていますから、やはり同氏もヘレン氏のグループからエニアグラムを学んだのでしょう。
同書の一番の特徴は、実際にそのタイプの人のコメントが沢山掲載されているところです。説明の直後に必ず話口調なコメントが載っており、とてもタイプのイメージがしやすいと私は感じました。
さて、同氏の矢印解釈についてですが、
- 矢印正方向=極端なストレスを受けた状態
- 矢印逆方向=精神的に安定した状態
という呼び名を使っていて、
ほんとんどの人は「ストレス」という言葉に否定的なニュアンスを感じるが、「ストレスを受けた状態」にある時の特徴を持つことは必ずしも悪いことではない。また、安定したタイプに向かうことが全面的によいというわけでもない。そのタイプの否定的な面が顔を出すかもしれないからである。実際、安定した状態よりもストレスのある時の方が気分的に楽だと感じるタイプの人もいる。<略>どちらのタイプに偏ったとしても、きちんと心がけていれば何かを学ぶことはできるのである。
ということが述べられています。
なのでカレンウェブ氏の矢印は長短併せ持ち型に含めました。
但し、「各矢印に移行した時の肯定面と否定面の比率」を見る限りでは、むしろ「基本的には矢印正方向は悪だが多少のメリットはある、逆も然り」とする善悪長短混合型に含めた方がいいかもしれません。
しかし、タイプ3や6の場合だと肯定面と否定面はそれぞれ半々くらいあったりします。どちらにしようか悩んだのですが最後は主観で決めてしまいました(笑)。
デーヴィド・N.ダニエルズ氏(2013.5.23追記)
デーヴィド・N.ダニエルズ氏は精神医学の博士で、ヘレンパーマー氏と共同でエニアグラムの教育プログラムを開発したり、セミナーやワークショップを開催している御方です。
第1回のエニアグラム国際会議の開催にも携わるなど、ヘレンパーマー氏とはパートナー関係にあると言ってもいいでしょう。
翻訳されている著書にはヴァージニア・アン・プライス氏との共著「スタンフォード式エニアグラム診断と解説―エッセンシャル・エニアグラム」があり、私はこれを所持しています。
この書籍はエニアグラムの解説というよりは、タイプ診断表がメインとなっていて、解説やアドバイスのボリュームは少なくなっています。
この診断表は同氏が7年かけて約1000人に試して完成したシロモノとのこと。
書籍にはこの診断表を使って正しくタイプを導き出せる確率=正当率が載っていて、各タイプにつき大体50から65%なのだとか。(何故かタイプ8だけ正当率が35%と異様に低かったりします)
それが本当だとしたらこの診断表の精度は相当高いことになるのですが、訳者の木村孝氏によれば「日本における調査はこれから」との注意書きがあります。
さて同氏の矢印解釈ですが、わずかではありますが、次のように載っています。
- 矢印正方向=ストレスやプレッシャーを感じる時、行動を起こそうと臨戦体制になる時
- 矢印逆方向=リラックスして安定を感じる時、打ちのめされたり疲れ果てている時
この表現からは、どちらか一方の矢印を善又は悪と捉えることが出来ないのが分かります。
特に矢印逆方向のデメリット、「打ちのめされた時」「疲れ果てている時」という表現は秀逸というか、核心をついた表現だと思います。
というワケで、デーヴィド・N.ダニエルズ氏の矢印解釈は長短併せ持ち型に含めました。
今回はここまで。
以上で長短持ち合わせ型の矢印解釈を採用する会派と著者のご紹介を終わります。
- ヘレンパーマー氏(国際エニアグラム協会、直感力の調査と訓練のためのセンター、エニアグラムワールドワイド)
- レニーバロン氏
- エリザベスウェイゲル氏
- カレンウェブ氏
- デーヴィド・N.ダニエルズ氏(2013.5.23追記)
こうやって並べてみると女性の指導者ばかりなんですねー。はたしてこれは偶然なのか、それとも何か意味があるのか。
私は少なからず意味はあると思っていますが、論旨から外れるのでここでは踏み込みません(苦笑)。デービッド氏を追加したので女性だけではなくなりました(苦笑)。
次回の矢印考察は善悪2元論型と長短併せ持ち型のハイブリッドである、善悪長短混合型を採用する会派や著者をご紹介します。
それではまた。
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